記事引用元: https://ameblo.jp/paasutukurimasu/entry-12850165080.html
自宅は築50年越えの空き家をフルリノベーション
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「使い勝手の悪いウッドデッキを何とかしたい」
先日このようなご相談をいただいたのですが、実はデッキに関する相談は少なくありません。
・新たにウッドデッキを設けたい
・デッキを広くしたい
・デッキに目隠しを付けたい
・屋根を設けたい
など、その相談内容も様々です。
今回のご相談者様は新築時にデッキは設けたものの、使い勝手が悪くなんとか有効活用したいとのこと。
広さもそこそこあるデッキですが、難点がいくつかあります。
まず【屋根がない】というのが大きいですね。
日差し対策や雨除けはもちろん、周囲からの視線をカットする意味でも屋根は大きな役割を果たします。
デッキに本物の木材を使っている場合は、耐久性もアップするので雨の多い地域では是非とも屋根を設けたいところです。
次に周囲からの目隠しになるものがあると、より一層使いやすいデッキとなるでしょう。
今回は住宅密集地ではないものの、道路や隣家などからデッキが丸見えです。
既存のフェンスでは高さが足りなく目隠しにはならず、このあたりをどうするかたポイントになります。
では前置きはこのくらいにして、
実際に提案したイメージパースがこちらです。
アングルが写真と逆方向なのでちょっと分かりにくいですが;
左に見えるのがリビングからの掃出し窓です。
木製パーゴラに遮熱ポリカで屋根を作り、リビングが暗くならないようにします。
真夏はパーゴラの下にサンシェードやタープなどを張れば、完全な日影とすることも可能です。
そしてすのこ状の板で目隠しを作れば、プライベート性の高いアウトドアリビングの出来上がり。
建物周囲に外部コンセントがあれば、そこから電源を分岐して照明を設置することも可能です。
ちなみに今回はウッドデッキを拡張して、面積が20㎥を超える広さになりました。
10㎡(約6畳)以上の増築は基本的に確認申請が必要なのですが、今回のようなウッドデッキはやや複雑です。
屋根を設けずウッドデッキを広げただけなら確認申請不要ですが、柱を建てて屋根を設けると一部(もしくは全部)を床面面積として参入する必要が出てきます。
その時の面積が10㎡を超えると確認申請が必要になりますのでご注意を。
準防火地域は要件が更に厳しくなるので必ず事前に相談してください。
確認申請の有無で費用は10~15万前後変わってくるので大きいですよね。
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それと固定資産税がアップする可能性があります。
航空写真や衛星写真を用いて3年に1度に行われる固定資産税調査、そこで発見される可能性は極めて高いです。
デッキのみなら非課税なのですが、今回のように屋根があり一部目隠しで覆っている場合は微妙です…
税務署がどう判断するかですね。
また確認申請が必要な場合はその年から課税される可能性があります。
とは言ってもそこまで大きい額にはならないはずですので、過度な心配は不要です。
最後は民法です。
民法の235条では【隣地境界線から1m未満にある他人の宅地を見通せることの出来る窓や縁側】に目隠しの設置を義務付けています。
知らない人も多いかもしれませんが、この法律ほんと厄介です…
住宅地では隣地境界から1mも離れてない家なんて数えきれないほどあるじゃないですか。
もし突然お隣さんが「お宅の窓はうちの敷地を見渡せるから目隠しをつけろ!」と言ってきたら、それに従わなければいけない可能性があるんですよ。
んなアホな…
私も過去に一度だけ建築中の現場でお隣さんから指摘されたことがあります。
結局その時は隣地側の窓を曇りガラスにする、ということで妥協していもらいましたが…
で、今回のウッドデッキが縁側としてみなされれば、隣地側に目隠しを設置する義務が出てくるというわけです。
実際に目隠し設置を要求してくる方は稀ですが、一応こういう法律があるということも覚えておいてくださいね。
過去にはマンション建築において裁判沙汰になったこともあるようなので。