記事引用元: https://www.military-spec-an.com/entry/1983UShelmet_thermallinerODdeadstock
今回は、1980年代のアメリカ軍防寒ヘルメットライナーを分析します。
当時の冬場における米韓軍事演習では常連でした。
とある映画にも出演していることでも有名(?)ですね!
当時のデッドストックですよ!
目次
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1 アメリカ陸軍スチールヘルメット用防寒ライナー(OG)とは?
第二次大戦中にアメリカ軍は、それまで使用していたイギリス軍タイプの皿型ヘルメットを廃止し、新型のM1ヘルメットを開発・支給しました。
このヘルメットはスチール製のシェルとベークライト製のライナーという二重構造で、銃弾はともかく砲弾の破片を高確率で防御できる画期的なヘルメットでしたね。
しかし1950年に始まった朝鮮戦争に参加したアメリカ軍は、韓半島独特の強烈な寒気に遭遇し装備の防寒性能向上を余儀なくされます。
それに対抗する衣類が一連のM51シリーズでしたね。
朝鮮戦争当時の冬用ヘッドギアとしては、M51ウールパイルキャップ(コッカースパニエルキャップ)が開発・支給されました。
アメリカ軍M51ウールパイルキャップ
このキャップは優秀で防寒性能も優れていましたが、少々問題点もありました。
それは単体で着用する場合は頭部の防護が。
ヘルメットの下に着用する場合には嵩張ってしまいヘルメットを被ることにも支障が出る始末。
またその重さや首周りの保温・防風にも少々問題がありましたね。
そこで新しい専用の防寒用ライナーが開発されます。
それが今回のモデルです。
諸説ありますが、1960年代には開発されていたとか?
M51ウールパイルキャップに比べて化繊を多用し、軽量化と保温力の向上が図られていますね。
その手軽さから訓練や実戦のみならず、映画の衣装としてもいくつか使用されていますよ!
さてさて、それはどんなヘルメット防寒ライナーなのでしょうか?
今回は、アメリカ軍装備マニアのみならず、映画ファンのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
背面
中央の色調の違う生地は、伸縮性があります。
上面
左側面
右側面
右側面裏側
耳から下が起毛された生地になっていますね。
左側面裏側
タグ①
1983年度契約品です。
タグ②
背面中央には伸縮性のある生地が。
M65フィールドジャケットのフード付け根生地に似ていますね。
後頭部には拡がり過ぎを防ぐゴムテープも縫い付けられています。
左右側面にはスチールヘルメット用のチンストラップを通すスリットあり。
裏側は起毛されたナイロンの毛布生地。
左右マジックテープの縫い付け状況
への字型で頭部を包み込むようなデザインですね。
装着イメージ
前面
背面
前頭部のフラップは、ライナー単体で使用する場合のバイザーとしても使用可能。
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3 その特徴とは?
シェルの生地はOD(OGではなく)に染められたコットンとナイロンの混紡です。
通称「オックスフォード」と呼ばれていますね。
今回のモデルはOD(オリーブドラブ)ですが、後にウッドランド迷彩や砂漠用のタンも製造されました。
一方ライニングは起毛されたナイロンの毛布生地で、軽く断熱・防寒性能に優れています。
またウールパイルなどの天然素材ではないために、クリーニングも容易ですね。
(ただし火気には要注意です。)
デザインは、耳当の付いた帽子(例えば上述のウールパイルキャップ)の左右フラップ部分を延長して頭部のみならず首の周辺も包み込むようになっていますね。
左右のフラップはマジックテープで固定するため、個人により微調整が可能ですよ。
また前頭部のフラップは単体で使用する場合の日除としても使用できます。
面白いのは後頭部で、中央に伸縮性のある生地が縫い付けられていますよ。
これで頭部にも密着でき、かつ適応サイズにも幅ができましたね。
サイズは官給品の各種キャップやハットなどと同じ形式(インチ表示)で、いくつか準備されていますよ。
(おそらく0.5インチ刻みだと思われます。)
全体的な縫製は、やはり少々雑で不正確な部分もありますが、強度は抜群のアメリカ軍スタンダードな仕立てです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1983年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 7・1/2inch
(日本人のL〜XL)
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 愛知の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
防寒性能で言えば、かつてのウールパイルキャップほどではありませんが、今回のモデルも十分な保温力を持っていますね。
(防風性能も高いです。)
特に首周りまでカバーしているのは、素晴らしいデザインですね。
(かつて大戦中のドイツ軍で帽体に折り畳み式のフードのついたフィールドキャップがありました。形式は違いますが、コンセプトは似てますよ。)
ところで今回のモデルは、演習や訓練で多く使用されていて、私が初めてその存在を確認したのは米韓軍事演習のニュースでした。
(まだM2ヘルメットで、4色迷彩のM60A3戦車が主力の時代でした。)
また軍事とは関係ありませんが「エイリアン・コベナント」(2017年)という映画で「コベナント号」クルーのキャップとして使用されていますね。
(ワッペンなどをアレンジしています。)
「く」の字型に曲がったフラップを頭上で留めていますね。
あと有名な「シックス・センス」(1999年)にも意外な場面で使用されているので、後でチェックしてみてください。
さて今回のモデルですが、アメリが軍のヘルメットが新型のPASGT(通称フリッツヘルメット)に変更されるに伴って次第に廃止されていったようです。
(それでもPASGTと重なる契約品もありますよ。)
元々M1・M2ヘルメット用だったので、大幅に帽体が変わったPASGTにはそのままでは使用することは難しかったのかもしれませんね。
でも寒候期には普通に使える一種の防寒帽なので、普段用に一つ持っていても良いかもしれません。
幸い各種SHOPではまだ在庫していますし、大手通販サイトでも取り扱われているので入手は可能ですよ。
(場合によっては、デッドストックも入手可能です!)
ただし私のように頭の大きいあなたは、サイズ選びが少々難しいかもしれません。
(大きいサイズはとても少なくなってきています。)
必ず試着して購入しましょう!
今回は、アメリカ軍のスチールヘルメット用防寒ライナーを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
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参考:他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の防寒装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍のキャップやハットに関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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